改正マンション建替え円滑化法(2020年6月成立)について
- 法改正
老朽化マンションの再生促進を目的とする「マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替え円滑化法)」が成立し、昨年(2021年)12月に一部施行されました。
施行された内容は、老朽化したマンションを対象に設けた三つの優遇制度のうち、容積率緩和の特例、マンション敷地売却制度の2つがスタートしており、2022年4月には団地における敷地分割制度が開始される予定です。本日はこのうちマンション敷地売却制度についてご説明いたします。
マンション敷地売却制度
とは、マンション建替えを実施せず、更地にして土地を売却する場合に利用できる制度です。通常は区分所有者全員の合意が必要ですが、「要除却認定基準」を満たせば5分の4の合意で売却可能となり、その「要除却認定基準」が従来までは耐震性が不足していると認められたマンションのみ制度の対象でしたが、12月以降は、従来基準に加え「外壁の剥落」「火災安全性」「配管の腐食」「バリアフリー性能」にも基準を設け一つでも満たせば適用できるようになっています。
それぞれの基準について
外壁の剥落:RCかSRC造が対象。検査員が外壁やバルコニーを目視確認し、劣化状況を4段階に分類し、判定式を使って制度への適用可否を判断します。
火災安全性:建築基準法で定める防火や避難に関する規定に適合しているかが判断基準です。
配管の腐食:スラブ下配管方式の排水管で、2か所以上漏水が発生していることが条件です。
バリアフリー性能:スロープの勾配や廊下の幅等の数値基準が設定されています。
まとめ
老朽化するマンションは年々増え続け国土交通省の推計によると、2020年度末時点のマンション675万戸のうち築40年を超える物件は103万戸ですが、これが40年度には405万戸まで膨らむ見通しとなっている中で、マンション建替え事業の実施件数については、19年度は全国で10件、20年度は9件にとどまり、全く進んでいないのが現状です。政府ではこれを改善しようと、今回ご紹介した改正以外にも、よりマンションを建替え易くするための条件緩和を検討しています。
今後も定期的にこのブログを通じて皆様へ情報を発信していきますので宜しくお願いします。
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